版画コースでは、版画の基本的な技法である木版画、銅版画、リトグラフ、シルクスクリーンに加え、ポリマー版画,写真、CGなども版表現として捉えています。多種多様なメディアに触れ、その中から自分にあった表現を選び、ゆたかな発想力を持った制作を追求することを目標としています。
多くの専門領域についてのプログラムを用意しています。
○写真 撮影技術、紙焼までの基礎からデジタルによる画像処理を学習します。
○CG 基礎からアドバンスを通し、システムやアプリケーションへの理解を深めます。
○紙造形 紙工房で原材料から製紙を行い紙漉を学ぶと共に繊維素材を活かした作品制作を行います。
○ブックアート 基本的な製本技術から広い意味でのブックアート表現を学びます。
○ミクストメディア 立体造形を通して3次元的感覚を身につけ、インスタレーションについても学習します。
1年生前半は基礎的な造形感覚を身につけます。デッサンやドローイング、デザインについて学習します。
その後、版画の基礎的な技法についての実習がスタートします。
2年生では様々な版画の技法を学ぶだけでなく、ブックアートやペーパーワーク、さらに写真やコンピューターグラフィックなども実習を通じて、多様な表現方法を習得していきます。
3年生からはこれまで学んだ表現技法の中から自分にあった版種、技法を選択し、ゼミに分れ それぞれが専門的な制作をスタートさせます。担当教員と進学や就職といった将来の計画、 制作内容についてミーティングを重ねていきます。
4年生は卒業制作に向けて自分だけの表現世界を確立していき、教員と意見を交換し制作のプランニングを行います。
また版画集を制作し展覧会を開催します。エディション刷りを体得し、教員と学生の作品 を互いに共有します。
大学院ではそれぞれの芸術領域における高度な表現手法の模索と探求を行います。あらゆる素材と向き合い、伝統的な芸術表現からコンテンポラリーアートまで、さまざまなメディアに触れ、更なる研究を進めます。
学部期間中に海外留学する学生も多くいます。版画の簡便性を生かし国際的な展覧会に出品したり、海外の学生との交流も盛んに行われます。夏期には海外ワークショップを毎年実施し、外国の版画工房での制作プログラムも用意しています。
環境に優しいをテーマに、自然素材やリサイクル可能な素材を使用したペーパーメイキングを考えたり、
有害溶剤を使わない制作環境を整備し、水無平版やポリマーインタリオ等の技法開発をしています。
研究制作を深める為に、大学院進学する学生も多くいます。就職状況としては、版画で学んだ造形感覚やコンピュータースキルを生かしデザイン会社に入社し、CGアーティスト、ゲーム、アニメのクリエイターとしての活動、他大学や専門学校などで教員としての活動、また作家として活躍する卒業生もいます。版画では幅広い分野に対応できる人材育成を目標にしています。
全学年を通して、環境負荷の少ない新しい技法の開発や、それらを使った制作を行っています。アルミ版廃材を用いて腐食を行わない凹版画の制作を1年時に実地し、環境への意識を高めています。銅版画の腐食に使用する塩化第二鉄や、写真現像液、停止液、定着液の使用時にはチェック表をつけて管理し、廃棄の際には”産業廃棄物”として専門業者に処理の委託をしています。
ペーパーメイキングは、ダンボールや紙パックなど一度成形されたものでも、粉砕し繊維質に戻せば新たな作品に生まれ変わります。TシャツやYシャツなどを粉砕しても紙が漉けます。
1 太陽光を当てることで版を作り、薬品を一切使わず水だけで製版のできるポリマー版画は、自然環境や制作する人の体にも優しいです。
2 従来の有機溶剤を大量に使用する油性のインクではなく、水性のインクを用いるシルクスクリーンは、環境負荷が少なく、制作者の身体への悪影響も少ないためサイズの大きな作品の制作に好適です。