2011年10月17日(月) 22:15
摺師として生きる
先日、伝統木版画摺師をされている卒業生平井恭子さんにきていただき、
浮世絵を一作品摺り上げる工程を見せていただくワークショップをしていただきました。
平井恭子さんは版画コースの6期生です。(今の1年生は25期生)
卒業後14年間も伝統木版画摺り工房 佐藤木版画工房に所属され、国内外で活躍されています。
先日も、タイ、ミャンマーで木版画摺りのデモンストレーションをされてこられたようです!!
女性の摺師さんはとても少なく、京都でも3人しかいないようです。
道具を紹介してくださっているところ
浮世絵は、たくさんの版が重なって出来上がっています。
分かりやすいように足していく版のみを摺ったものもご用意いただきました。(☝右)
ひとつの版でも、①全面を均一にする→②ぼかしをかけて摺る
といったように、とても繊細にイメージが摺り上げられてゆきます。
北川歌麿の美人画『北國五色墨・切の娘』を摺ってくださいました。
表情のある美人画を摺るのは特に難しいとのことで、
同じ版木を使用しても摺る人によって全く違うものができあがるそうです。
技術を習得する為には長い年月が必要とのこと…
普段使われている水桶や筆、バレン、重石などもこの日の為に持って来てくださいました。
この手前の銅製水桶は、あいた穴をついで使われていたり、道具ひとつにしてもとても大切に使われていました。
ワークショップの後は学生たちから質問がたくさん
普段どのように摺っているのか とか
浮世絵のエディションはどうなっているのか とか
印象的だったのが、
昔に摺られたものをみて、学ぶことはありますか?という質問に
『学ぶところはあるけれども、全く同じに摺っている訳ではないんです。
現在に求められているイメージに摺り上げています。でも、摺師の個性を出してはいけない。
伝統ってその時代に求められているものによって日々進化していっている。』
興味深いお話をたくさん聞かせていただきました。
平井さん貴重な時間をどうもありがとうございました。