『技法』カテゴリーの投稿一覧
2009年10月5日(月) 18:48
先日、牧野ゼミ(3回生対象)で◆木版石膏刷り◆のレクチャーが行われました。
石膏刷りは昔からある技法なのですがそんなに一般的に知れ渡っていないかもしれませんね。
凹版をプレス機や紙を使わない版画♦
立体作品としても見せられ、繊細な世界が引き立ち、紙とは違う重量感のあるちょっと不思議な魅力のある手法です★
木版だけでなく銅版やその他にも応用が利くようです◎
○版作り○
まず
版木にニスなどを塗ります。
ニスが乾いたら
彫刻刀などで描画。
油性インクをつめます。
余分なインクを寒冷紗(硬くて荒いガーゼのようなもの)で
拭取る。
版木と同じサイズの石膏を作りたい場合は
塩ビ板の上に
版木がすっぽり収まる縁を作り
その中にインクののった
版をセットします。
版の
一部のイメージのみ写し取りたい場合や
不定形なものを作りたい場合は
版木の上に直接流すのもOK!使い方は応用できます。
○石膏の準備○
ココでの石膏は通常立体作品などを制作するものとは違い歯科用の超硬石膏を使用します。
容器に適量の水、石膏を入れ、上下左右に撹拌。
版木の上に流し込み、確実に硬化したら剥がします。
硬化を確認し、塩ビ板を曲げると版木と石膏がはずれ、
次に、慎重に!版から石膏を剥がしとります。ドキドキ
キレイに刷れてます*゜
この後アクリル絵具や水彩絵具で加筆をしたり、インクが載った面を彫って、石膏の白地を出したりもできます!
なんだか色々できそうでおもしろそう♪
☆版画コースでは池垣教授が銅版石膏刷りでの作品を多数発表されてます☆
2009年8月20日(木) 19:10
○AO入試3日目○
ポリマー版画を行いました。
本日もポリマー版画で使用する材料・機材と技法説明を交えつつご紹介をします▲▲
ポリマー版画とは、版は感光性樹脂板で、紫外線をあてると硬化する特徴をもっています。
イメージは描画フィルム(ダイヤマットなど)に描いたり、直接ものを置いて焼付けることも可能です。
原稿となる↑描画フィルムは半透明で少しザラッとしてます。
そのため、光を通さない黒の絵の具やダーマトグラフ、濃いめの鉛筆、マジック等が使えカッターで描いた所を削ることもできます◎
大学では露光機↑を使って感光させますが、太陽でも大丈夫です●
イメージのフィルムを感光後、
コンタクトスクリーンという特殊なドットで構成されてるスクリーントーンを感光させ、描画の細かな表情が出るようにする。
その後、ハケなどで水洗いをすると、
光の当らなかった部分が水で流れ版面がデコボコしてきます。
スポンジで水切りした後、
熱乾燥機に入れて10分ほど
乾燥させ、
もう一度、版を
硬化させるため光を当てれば
製版が◉完成◉次は
刷り基本は
銅版の刷り方法と同じです。
インクも
銅版画用インクを使い(奥の缶とチューブ)
インクを版面にゴムベラ(左の黒い四角)等でのせ、
寒冷紗(硬いメッシュ上のガーゼ<インクの下>)で余分なインクを取除き、
ロール紙等
(薄手の白い紙)でさらに拭取る。左の
オレンジ色の板がポリマーの
版。手前右:
水張りテープそして
エッチング用プレス機↑を使います。
プレス機に
プレートをのせ
紙をのせ、
フェルトを置き、機械を回し、
強い圧力で刷上げます⦿⦿⦿
紙も
エッチングに適したもの(ハーネミューレなど)を使用することが多く、
刷る前には水で湿らしておく。
できた作品はボードに水張りテープで貼付け乾燥。
ピンッと張ったら作品を切取って★完成★
見た目は銅版とよく似ていますが銅版よりも
簡単でスピーディーに凹版・凸版を作ることができます⦿
また、腐食を行わないので環境や人にやさしい版画技法です☆☆☆
2009年8月18日(火) 20:13
本日から京都精華大学ではAO入試を実施してます。
版画コースは全4日間行います。
受験生達はそのうち2日間来て、それぞれ別の版画技法で作品制作をします。
⦿第1日目の今日はシルクスクリーン制作をしました⦿
今日の試験の様子をお見せできませんので、シルクで使う道具のご紹介をします❖❖❖
中央にあるのが版。紗枠といい、金属のフレームに化学繊維が張ってあります◎
手前右がスキージー。紗枠の上にのせたインクをコレでひき、下にセットした紙に刷ります◎
手前中央の金属の道具はバット。
コレに光に反応するどろっとした液体(感光乳剤)を入れ、紗に塗ります◎
奥が露光機。下から光が出ます。
シルクスクリーンはイメージを光に反応させて版に定着させるため、こういった機材が必要となります◎
手前が乾燥機。
感光乳剤や版を乾かせるためのもの◎
シルク用インク。
京都精華大学は環境に考慮し水性を使用◎
ここは水洗い場。
感光乳剤を塗った版にイメージを露光機で焼きつけると
光が通った部分と通らなかった部分ができます。
その後水洗いをすると光が通らなかった部分は水で流れ、
版ができます。
紗には穴がある所とない所ができその穴をインクが通ると思って下さい。
また汚れた版を洗う場所でもあります。
とっても簡単に説明しましたので詳しくはブログのシルクスクリーンのラベルでどうぞ!
2009年1月7日(水) 20:14
大学院1回生はグループ展前でみんなせっせと作品制作に励んでます。
2F工房でリトグラフをしてる院生を見つけたので今日は彼↓のしてる制作行程の一部(製版作業)をご紹介します。リトグラフにおいてはかなり重要な行程です!
アルミ板に描かれたイメージは油性分or脂肪分でできた材料で描画されてます。
版は描かれた箇所のみ化学反応を起こします。
描画後、アラビアゴム(アカシヤの木から採れる樹脂)と酸を反応させ
インクの付く部分とインクをはじく部分を作る作業に入ります。
製版前に描いたイメージの上にアラビアゴムを薄く引きのばし、
完全に乾いている事を確認してからスタート。
描画部分をテレピン油などの溶剤で拭き取ります。この時、
その部分にチンクタール(油性分が強く、イメージ部分に強力な油性の膜を作ってくれる)を
薄く塗ります。
チンクタールが乾いたら水で描画部分以外についたチンクタールを下ひいてあったアラビアゴムとともに洗い落とします。
黒いローラが製版ローラー。製版インクをイメージ上に盛っていきます。
この時、常に版面が塗れていないと製版インクが版についてしましますので、隣に塗れたスポンジ(黄色い物)が必須。
速く動かしたりゆっくり動かしたり、結構な運動量です!
すべてに製版インクがのせれたら乾燥させ、ラズン(松ヤニ粉末)タルク、をふりかけ
アラビアゴムを薄く引きのばします。
このあと時間を置き、刷り作業に入ります。
彼女は何をしてるでしょう?
答えは明日。
今日はちょっと専門的になってしまいましたね。
昨日の答え
バレンの滑りが良いように顔の油分をつけています。
潤滑油もありますが多く人が髪の毛や顔の油分を少しつけて摺られます。
2008年12月2日(火) 19:19
◇パズル技法◇
油性凸版のひとつです。
版木を自由なイメージに糸ノコギリなどで切り抜き、それぞれにインクをのせ、刷るといものです。
今回はデモ用なのでイメージ全体を切り抜いた後、それらを合わせたものになってますが、
イメージの一部にだけ、こういった切り抜きの形を加える使い方もできます。
版木はシナベニアを使いました。
まずはインクをローラーでのせます。
全てにインクをつけれたらプレス機で刷ります。
この技法はバラバラの版木全てを一気に刷り上げるのでに水性だと時間差でインクが乾いてしまう為、基本は油性限定です。
出来上がり★
↑板を切って合わせてるので、その部分はどうしても隙間ができてしまいます。なのでこのようにイメージの形と形の間に白い箇所(紙の色)が生じるのが特徴的です。
2008年11月21日(金) 16:42
●オフセット●
印刷技術の一つで平版を用いられる事が多いです。鮮明な印刷が可能で、印刷工場で何百,何千枚刷る事も可能ですがココでは人力の方法を紹介します。
まずアルミ板に感光剤を塗ったPS版や金属プレートに感光性のあるシリコンが塗られた水なし平版を版とし、そこにイメージを定着させます。
次にイメージ部分は油分と仲が良い状態なので油性のインクをローラーでのせます。
PS版の場合は水と油の反発性を利用して刷るため、版面を水で湿しながらこの作業を行います。
↑これは水なし平版。
そして版に付けられたインクを、一度ゴムブランケット(ゴム製の円筒型の転写体)などに転写(offset)した後、紙に刷ります。
分かりにくいですがオフセット刷りの大きな特徴は、この版と紙が直接触れない印刷方法です。
↑茶色の円筒型の物がブランケット。イメージが転写されてるのが見えますでしょうか。
↑手前が版で奥が版画。
何枚か版を重ねて出来上った完成品。2年生の作品です。
※水なし平版の技法に関しては9/16,10/7,10/20のブログをどうぞ☆