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京都精華大学 版画コースのブログです。 版画コースの授業やコース関係者の展覧会情報、様々なイベントをご紹介します。また、版画技法についても簡単な説明をしています。

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『技法』カテゴリーの投稿一覧

♢♦最終日♦♢

あっという間に11月最後ですね。
そして、1回生木版基礎、2回生シルクスクリーン,銅版の授業も最終日です▲▼
イコール ✸大合評会✸ です!
その模様は後日お伝えさせて頂きます。

今日は1回生・木版基礎の第2課題、多色摺りの様子をご紹介します。

多色摺り、要するにカラー木版画
↑<ぼかし摺り>のレクチャー。
ぼかし摺りは、大きく別けて片ぼかし、つけ合わせぼかしがあって、
片ぼかし:ぼかしたい1色と水でグラデーションさせます。
つけ合わせぼかし:ぼかしたい色を2色でグラデーションさせます。片ぼかし以上に気を遣います。
どちらも版木の上でグラデーションには丸刷毛や手刷毛(木版の摺で使う刷毛)を巧みに使い行います。
ぼかしは単色で摺るよりずっと難しいのです。

❖他にも一文字ぼかし、大ぼかし、当て無しぼかし、中段ぼかし、ムラぼかし、などなど
言い方を変えたり、ちょっとした違いがあるようで種類が豊富♕

ぼかし摺の後、最後に主版(イメージの大きな構成を左右する輪郭のような版の事)を摺り上げた直後。

川端先生の版木。
多色の場合、一版で、色分けして摺る事もできますが、(一版多色)
このように、色毎に版を別けて作り、刷り重ねていく場合もよくあります。(多版多色)
中でも色毎に版を別けて製版する事を<分解法>と言います。
主版を基準に色分けして製版する(絵全体に輪郭線がある感じ)場合を<主版法>と言います。浮世絵はコチラになります。

先生の作品も沢山見せてもらいました。



ドライラック(乾燥棚)にいっぱい❂❂❂
この時はまだ色や彫り具合などのテストでもあったと思います。
もしくは完成すると、何枚か同じように摺る(エディション制作)学生もいると思います。
提出作品はまた今度。お楽しみに〜❦

ちょっと珍しい♢*◇

先日、牧野ゼミ(3回生対象)◆木版石膏刷り◆レクチャーが行われました。
石膏刷りは昔からある技法なのですがそんなに一般的に知れ渡っていないかもしれませんね。
凹版をプレス機や紙を使わない版画

立体作品としても見せられ、繊細な世界が引き立ち、紙とは違う重量感のあるちょっと不思議な魅力のある手法です★
木版だけでなく銅版やその他にも応用が利くようです◎
○版作り○
まず版木にニスなどを塗ります
ニスが乾いたら彫刻刀などで描画

油性インクをつめます。

余分なインクを寒冷紗(硬くて荒いガーゼのようなもの)で拭取る

版木と同じサイズの石膏を作りたい場合は塩ビ板の上に版木がすっぽり収まる縁を作り
その中にインクののった版をセットします。
版の一部のイメージのみ写し取りたい場合不定形なものを作りたい場合版木の上に直接流すのもOK!
使い方は応用できます。

○石膏の準備○

ココでの石膏は通常立体作品などを制作するものとは違い歯科用の超硬石膏を使用します。
容器に適量の水、石膏を入れ、上下左右に撹拌

版木の上に流し込み、確実に硬化したら剥がします。

硬化を確認し、塩ビ板を曲げると版木と石膏がはずれ
次に、慎重に!版から石膏を剥がしとります。ドキドキ

キレイに刷れてます*゜

この後アクリル絵具や水彩絵具で加筆をしたり、インクが載った面を彫って、石膏の白地を出したりもできます!
なんだか色々できそうでおもしろそう♪
☆版画コースでは池垣教授が銅版石膏刷りでの作品を多数発表されてます☆

環境を考えて・

○AO入試3日目○
ポリマー版画を行いました。
本日もポリマー版画で使用する材料・機材と技法説明を交えつつご紹介をします▲▲
ポリマー版画とは、版は感光性樹脂板で、紫外線をあてると硬化する特徴をもっています。
イメージは描画フィルム(ダイヤマットなど)に描いたり、直接ものを置いて焼付けることも可能です。

原稿となる↑描画フィルムは半透明で少しザラッとしてます。
そのため、光を通さない黒の絵の具ダーマトグラフ濃いめの鉛筆、マジック等が使えカッターで描いた所を削ることもできます◎

大学では露光機↑を使って感光させますが、太陽でも大丈夫です●
イメージのフィルムを感光後

コンタクトスクリーンという特殊なドットで構成されてるスクリーントーンを感光させ、描画の細かな表情が出るようにする。
その後、ハケなどで水洗いをすると、
光の当らなかった部分が水で流れ版面がデコボコしてきます。
スポンジで水切りした後、熱乾燥機に入れて10分ほど乾燥させ、
もう一度、版を硬化させるため光を当てれば製版が◉完成◉
次は刷り

基本は銅版の刷り方法と同じです。
インクも銅版画用インクを使い(奥の缶とチューブ)
インクを版面にゴムベラ(左の黒い四角)等でのせ、
寒冷紗(硬いメッシュ上のガーゼ<インクの下>)で余分なインクを取除き
ロール紙(薄手の白い紙)でさらに拭取る
左のオレンジ色の板がポリマーの。手前右:水張りテープ

そしてエッチング用プレス機↑を使います。
プレス機にプレートをのせをのせ、フェルトを置き、機械を回し、強い圧力で刷上げます⦿⦿⦿
紙もエッチングに適したもの(ハーネミューレなど)を使用することが多く、
刷る前には水で湿らしておく
できた作品はボードに水張りテープで貼付け乾燥
ピンッと張ったら作品を切取って★完成★
見た目銅版とよく似ていますが銅版よりも
簡単でスピーディーに凹版・凸版を作ることができます⦿
また、腐食を行わないので環境や人にやさしい版画技法です☆☆☆

▲初日▲

本日から京都精華大学ではAO入試を実施してます。
版画コースは全4日間行います。
受験生達はそのうち2日間来て、それぞれ別の版画技法で作品制をします。
⦿第1日目の今日はシルクスクリーン制作をしました⦿
今日の試験の様子をお見せできませんので、シルクで使う道具のご紹介をします❖❖❖

中央にあるのが紗枠といい、金属のフレームに化学繊維が張ってあります◎
手前右がスキージー。紗枠の上にのせたインクをコレでひき、下にセットした紙に刷ります◎
手前中央の金属の道具はバット
コレに光に反応するどろっとした液体(感光乳剤)を入れ、紗に塗ります

奥が露光機下から光が出ます。
シルクスクリーンはイメージを光に反応させて版に定着させるため、こういった機材が必要となります◎
手前が乾燥機
感光乳剤や版を乾かせるためのもの◎

シルク用インク
京都精華大学は環境に考慮し水性を使用◎

ここは水洗い場
感光乳剤を塗った版にイメージを露光機で焼きつけると

光が通った部分と通らなかった部分ができます。
その後水洗いをすると光が通らなかった部分は水で流れ、
版ができます
紗には穴がある所とない所ができその穴をインクが通ると思って下さい。
また汚れた版を洗う場所でもあります。

とっても簡単に説明しましたので詳しくはブログのシルクスクリーンのラベルでどうぞ!

○○リトグラフの製版作業○○

大学院1回生はグループ展前でみんなせっせと作品制作に励んでます。
2F工房でリトグラフをしてる院生を見つけたので今日は彼↓のしてる制作行程の一部(製版作業)をご紹介します。リトグラフにおいてはかなり重要な行程です!

アルミ板に描かれたイメージは油性分or脂肪分でできた材料で描画されてます。
版は描かれた箇所のみ化学反応を起こします。
描画後、アラビアゴム(アカシヤの木から採れる樹脂)と酸を反応させ
インクの付く部分とインクをはじく部分を作る
作業に入ります。
製版前に描いたイメージの上にアラビアゴムを薄く引きのばし、
完全に乾いている事を確認してからスタート。

描画部分をテレピン油などの溶剤で拭き取ります。この時、
その部分にチンクタール(油性分が強く、イメージ部分に強力な油性の膜を作ってくれる)を
薄く塗ります。

チンクタールが乾いたら描画部分以外についたチンクタールを下ひいてあったアラビアゴムとともに洗い落とします

黒いローラが製版ローラー。製版インクをイメージ上に盛っていきます。
この時、常に版面が塗れていないと製版インクが版についてしましますので、隣に塗れたスポンジ(黄色い物)が必須。
速く動かしたりゆっくり動かしたり、結構な運動量です!

すべてに製版インクがのせれたら乾燥させ、ラズン(松ヤニ粉末)タルク、をふりかけ

アラビアゴムを薄く引きのばします

このあと時間を置き、刷り作業に入ります。

彼女は何をしてるでしょう?
答えは明日。

今日はちょっと専門的になってしまいましたね。

昨日の答え
バレンの滑りが良いよう顔の油分をつけています。
潤滑油もありますが多く人が髪の毛や顔の油分を少しつけて摺られます。

ウラを見せる

◆裏摺技法◆
水性木版画の技法のひとつ。
通常水性木版はこのように↓墨(デモ用なので分かりやすいように黒い絵の具を使ってます)を摺った方が表となる訳ですが、これを裏返しにして見える絵が表面となるのです。

和紙を通して墨の滲みがキレイに見せれます。

版木に引っ掻くように彫刻刀でイメージを作ってみたら・・・

まくれた木が吸い込んだ墨が点の滲みとなり、それととが合わさった表情が見えてきます。
手摺なので、版木が同じでも、圧力の入れ方によって見え方が変えれます
上と下では摺りが違いますよね。↓↓

裏摺法は全体が水性木版。それに、この技法を部分的に取り入れられた作品となる事が多いと思います。

↑牧野先生がにあててるのがバレン(竹製)ですが、ナゼあててるでしょう!?

答えは明日

こんな方法もあります

◇パズル技法◇
油性凸版のひとつです。
版木を自由なイメージに糸ノコギリなどで切り抜きそれぞれにインクをのせ、刷るといものです。
今回はデモ用なのでイメージ全体を切り抜いた後、それらを合わせたものになってますが、
イメージの一部にだけ、こういった切り抜きの形を加える使い方もできます。
版木はシナベニアを使いました。

まずはインクローラーでのせます。
全てにインクをつけれたらプレス機で刷ります。
この技法はバラバラの版木全てを一気に刷り上げるのでに水性だと時間差でインクが乾いてしまう為、基本は油性限定です。

出来上がり★


↑板を切って合わせてるので、その部分はどうしても隙間ができてしまいます。なのでこのようにイメージの形と形の間に白い箇所(紙の色)が生じるのが特徴的です。

平版のバリエーション

●オフセット●
印刷技術の一つで平版を用いられる事が多いです。鮮明な印刷が可能で、印刷工場で何百,何千枚刷る事も可能ですがココでは人力の方法を紹介します。

まずアルミ板に感光剤を塗ったPS版や金属プレートに感光性のあるシリコンが塗られた水なし平版とし、そこにイメージを定着させます。
次にイメージ部分油分と仲が良い状態なので油性のインクローラーでのせます。
PS版の場合は水と油の反発性を利用して刷るため、版面を水で湿しながらこの作業を行います。

↑これは水なし平版。

そして版に付けられたインクを、一度ゴムブランケット(ゴム製の円筒型の転写体)などに転写(offset)した後、紙に刷ります。
分かりにくいですがオフセット刷りの大きな特徴は、この版と紙が直接触れない印刷方法です。

茶色の円筒型の物がブランケット。イメージが転写されてるのが見えますでしょうか。
手前が版奥が版画


何枚か版を重ねて出来上った完成品。2年生の作品です。
※水なし平版の技法に関しては9/16,10/7,10/20のブログをどうぞ☆

ヘイターさんが考えました。

木版画の技法紹介◆ヘイター技法◆
一版多色油性木版画の一種で版木にジェッソ等でイメージを作り、油性インク何層か重ねて刷ります。以前にも紹介しているコラグラフに近い技法です。
まずはベースとなるインク(やや固め)をのせ余分なインクを寒冷紗などで取り除きます。
凹の部分にインクを詰めている状態です。

次に先程よりやわらかめのインクをローラーでのせます。
今度は凸の部分にインクを置きます。

最後にやわらかいインクをローラーでのせて刷ります。
このデモでは3色重ねにしましたがもう少し版を重ねる事もできますし、2色でもできます。

プレス機の圧力調整します。

版の凹凸のイメージ3色の重なりで浮かび上がっているような刷り味で、一見一つの版で一気に刷ったとは思えません!

♧兼ね備えた♧

プライウッドグラフ<=木版リトグラフ>
版木となるベニヤ板の表面にゼラチン質を塗る木版の表現と平版の表現を合わせ持った技法です。

↑プライウッドグラフの版になる液体作り。
ミョウバン(手前の白い物)と、にかわ(ゼラチン)をお湯で溶かす。

↑できるだけ均一に刷毛で塗る。暖かいに塗り切らないと液体が固まってしまいます!

ソリッドマーカー(描画材料)油性分のクレヨンのようなもの。
(左)描画と彫りを加えた版木(右)刷り上がった版画

平版の特性を利用するのでインクは油性プレス機に通します。
これはデモ用なのでモノクロ作品ですが、一版多色ができます!ソリッドマーカーで描いた部分以外にも水性絵の具で版木に色を付けて一度に刷る事もできます!色数も自由☆